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- ​骨粗鬆症外来 -

骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症とは単なる「骨の老化現象」ではなく、「骨の病的老化」であり、治療が必要な疾患です。この病気にかかると骨が非常にもろくなるために、尻もちやつまずく等のわずかな衝撃でも骨折しやすくなります。推定約1,300万人超という非常に多くの患者様が患っているにも関わらず、何らかの治療を受けている患者様は少ないという現状があります。

 腰椎や大腿骨を骨折してしまうと、歩行困難・寝たきりになってしまう恐れがあるため、骨粗鬆症の予防や治療は大切です。特に女性は、閉経後急速に骨量が減少するので、骨量のさらなる減少を食い止めることが重要です。

 また骨量がすでに著しく低下している高齢者の方においては、骨量の維持とともに転倒の防止が重要です。骨量は、喫煙、過度の飲酒、ダイエット、糖尿病、腎疾患やステロイド薬の内服等によっても減少します。当院の専門外来では、骨粗鬆症の専門知識をもった医師が患者様の骨の状態をわかりやすく丁寧に説明し、きめ細やかな治療を行ってまいります。

 当院では、DEXA法での全身型骨密度測定装置を導入し、精密な検査が可能です。検査の結果、骨粗鬆症の患者様には、進行状況により適切な薬物療法を行い、一次骨折を予防いたします。お気軽にご相談ください。

​①骨粗鬆症の診断

骨粗鬆症の診断には、骨密度の測定、X線検査、血液・尿検査などが行われます。

​骨密度測定

骨の強さを判定する際の重要な尺度の1つに“骨密度”があります。当院では、DEXA(デキサ)法による骨密度の測定を行っています。

平川整形外科医院 佐世保 リハビリ 骨粗鬆症 入院

腰椎測定での測定は約40秒

大腿骨での測定は約20秒という短時間で測定を実施することができます。

※ 腰椎測定時:標準モードによる

DEXA法では二種類の異なるエネルギーのX線を照射することによって骨密度を測定します。当院の備える“DCS-900FX”なら、骨密度測定で重要視される腰椎・大腿骨・前腕の測定に対応し、高い精度でしかも迅速に測定することができます。

​X線検査

主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、圧迫骨折や変形が無いか、また「骨粗鬆化」の有無を評価します。骨粗鬆症と他の疾患とを判別するのに必要な検査です。

​血液検査・尿検査

骨代謝マーカーを調べることにより、骨の新陳代謝の速度がわかります。骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人は骨密度の低下速度が速いため、骨密度の値にかかわらず、骨折の危険性が高くなっています。

②​骨粗鬆症の予防と治療

骨粗鬆症の原因のうち、年齢や性別、遺伝的な体質などは変えることができません。 しかし食生活や運動などの生活習慣を見直すことにより、予防と改善が可能です。

​食事療法

骨粗鬆症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、およびカルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨を作るのに重要なビタミンKなどです。カルシウムは食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが勧められています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。骨粗鬆症の人が避けるべき食品は特にありませんが、リンやカフェイン、アルコールなどの摂り過ぎには注意しましょう。過ぎた量のアルコールは、カルシウムの吸収を妨げたり、尿からのカルシウムの排泄量を増やします。カフェインもまた、カルシウムの排泄を促します。リンを摂り過ぎると、血液中のカルシウムとリンのバランスを保とうとして骨の中のカルシウムが血液中に放出されてしまい、骨密度の減少を招きます。

​積極的に摂りたい栄養素を多く含む食品

​必要な栄養素
​含まれる食品
カルシウム
​タンパク質
牛乳、乳製品、干しえび、しらす、ひじき、わかさぎ、いわしの丸干し、大豆製品、小松菜 など
肉類、魚介類、大豆製品、牛乳 チーズ など
​ビタミンD
ウナギ、サケ、サンマ、イサキ、カレイきくらげ、干ししいたけ など
ビタミンK
卵、納豆、抹茶、小松菜、にら、菜の花、ブロッコリー、にら、キャベツ ほうれん草など

​運動療法

骨は、運動をして負荷をかけることで増え、丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが無くなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗鬆症の治療に不可決です。
骨量を増やすには、ウォーキングやエアロビクスなどの中程度の強度の運動が効果的です。激しい運動をする必要はありません。散歩などは可能なら毎日、あるいは週に数回でも十分ですので、とにかく長く続けてください。また背骨の骨折を防ぐためには、背筋を鍛える運動が効果的です。

~日光浴でビタミンDが作られる~

カルシウムの吸収を助けるビタミンDは

紫外線を浴びることで体内でも作られ

ます。夏の直射日光を長時間浴びる

ことは、脱水・熱中症のリスクもあり

ますが適度な日光浴は骨の健康に役

立ちます。冬であれば30分程度散歩

に出かけたり、夏であれば暑さを避け

木陰で20~30分程度過ごすだけで充分です。屋内で過ごすことが多い高齢者や美容のために過度の紫外線対策を行っている方はビタミンD不足が心配されます。光線過敏症等の疾患のある方は難しいですが、運動を兼ねて積極的に外出する機会を作り、上手に紫外線と付き合っていきましょう。

​薬物療法

病状が進んだケースでは、運動療法に併せて薬物療法を開始します。現在、使われている薬には、骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」、骨の形成(新しい骨を作る)を助ける「骨形成促進剤」、骨の栄養素である各種ビタミン(D、K)剤などがあります。また、腰や背中などに痛みがある場合は、痛みを取る薬も用いられます。どんな薬を選び、いつから治療を始めるかについては、患者様個々の年齢や症状の進み具合、過去の骨折の既往歴等より評価などを考え合わせながら、医師が判断します。


現在治療に用いられている薬には、主に以下のようなものがあります。

主な骨粗鬆症治療薬
ビスフォスフォネート製剤

骨吸収を抑制することによって骨形成を促し、骨密度を増やします。骨粗鬆症の治療薬のなかでも有効性の高い薬です。 大きく分けると内服薬および注射薬の2種類があり、内服薬は月1回1錠服用するものが主流ですが、注射剤においては現在多種の薬剤があり、主に月1回の静脈注射のタイプ(商品名:ボンビバ)や年1回点滴注射(商品名:リクラスト)等があり、整形外科以外の他科の内服薬が多く、これ以上内服薬の追加が困難な方や、内服のビスフォスフォネート製剤にて治療効果の低い方には、注射剤が適応となると考えられます。

活性型ビタミンD3製剤

カルシウムの腸管からの吸収を増やす働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。

ビタミンK2製剤

骨形成を促進する作用があり、骨折の予防効果が認められています。

SERM(塩酸ラロキシフェン)

女性ホルモンと似た働きをし、骨吸収を抑制することで骨の量を増やします。

副甲状腺ホルモン(テリパラチド)

骨形成を促進する薬で週1回の皮下注射(商品名:テリボン)もしくは、1日1回の自己注射のタイプ(商品名:フォルテオ)があります。最も短時間で骨を形成することができ、骨密度が非常に低い患者さんに適した薬です。

Denosmab
(ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体)

骨吸収を抑制する薬剤で、6ヶ月に1回注射を行うタイプ(商品名:プラリア)で骨粗鬆症を治療する薬で、この薬が作用する標的は、骨が溶け出す過程に関与するRANKリガンド(RANKL)と呼ばれる受容体であり、この受容体を阻害することによって骨粗鬆症を治療します。

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